古畑任三郎第9話として検索される「間違えられた男」は、正確には第2シリーズ第9話で、風間杜夫が雑誌編集者の若林仁を演じた異色のコメディ色が強い倒叙ミステリーです。
この回は、冒頭では雪山の山荘、猟銃、糸を使った密室偽装という本格ミステリー風の事件が提示されますが、途中から若林がたまたま出会った男を殺してしまい、その男になりすまして古畑任三郎に振り回される悲喜劇へ大きく転調します。
検索している人の多くは、あらすじやネタバレだけでなく、若林仁がなぜ妻の不倫相手を殺したのか、鴨田巌とは誰なのか、古畑はどこで若林のなりすましを見抜いたのか、時計やサザエさんやボウリングやホテルマンの伏線がどうつながるのか、キャスト相関図、視聴率、放送日までまとめて確認したいはずです。
ここでは、公式配信ページや番組情報で確認できる基本データを踏まえながら、「間違えられた男」の結末、若林の二つの殺人、鴨田になりすます流れ、古畑の逆トリック、感想と考察、人物関係、1996年3月6日の放送日と視聴率26.5%まで、ネタバレ込みで整理します。
古畑任三郎第2シリーズ第9話間違えられた男の結末は何
結論から言うと、「間違えられた男」の真犯人は、風間杜夫が演じる雑誌編集者の若林仁です。
若林は、妻の不倫相手を高尾山の山荘で猟銃により殺害し、糸と鍵を使った密室風の偽装で自殺に見せかけます。
しかし帰り道に車のタイヤがパンクし、偶然乗せてもらった鴨田巌に自分と会ったことを留守番電話へ吹き込まれたため、口封じとして鴨田まで殺害します。
さらに若林は、鴨田の自宅で留守番電話のテープを回収しようとしたところに古畑が現れ、逃げるために鴨田本人になりすます羽目になります。
作品情報としては、FODの第9話配信ページや番組データで第2シリーズ第9話として扱われ、初回放送日は1996年3月6日、視聴率は26.5%とされています。
真犯人の答え
「間違えられた男」の真犯人は、雑誌編集者の若林仁です。
若林は冒頭で妻の不倫相手を殺害し、その後に鴨田巌も殺害するため、この回では二つの殺人に関わっています。
ただし、古畑が最終的に追い詰める中心は、山荘での最初の殺人よりも、鴨田殺害後に若林が鴨田になりすましていた事実です。
そのため本作は、完全犯罪を古畑が崩す通常の構成というより、犯人が偶然の不運でどんどん苦しい芝居を続ける羽目になるコメディミステリーとして見ると理解しやすくなります。
| 真犯人 | 若林仁 |
|---|---|
| 演者 | 風間杜夫 |
| 職業 | 雑誌編集者 |
| 最初の被害者 | 妻の不倫相手 |
| 二人目の被害者 | 鴨田巌 |
若林は冷酷な計画犯でありながら、古畑と出会った後は追い詰められる姿が滑稽に見えるため、シリーズの中でもかなり特殊な犯人像になっています。
若林仁の動機
若林仁の最初の動機は、妻の不倫相手への怒りと嫉妬です。
彼は妻の浮気相手を高尾山の山荘へ呼び出し、猟銃で射殺することで、個人的な恨みを晴らそうとします。
この時点の若林は、密室トリックまで用意する計画的な犯人として描かれており、決してただの不運な男ではありません。
しかし、計画後にタイヤがパンクし、鴨田に拾われ、さらにその鴨田が留守番電話へ出会った事実を残してしまうことで、若林の計画は完全に崩れていきます。
- 妻の不倫相手に強い恨みがある
- 山荘で猟銃を使って殺害する
- 自殺に見せかけるため密室偽装を行う
- 帰り道の偶然で鴨田に出会う
- 口封じが二つ目の殺人につながる
若林の動機は同情できる部分があるようにも見えますが、そこから他人を巻き込み、嘘を重ねて逃げようとする姿に、彼の弱さと身勝手さが表れています。
山荘殺人の流れ
若林は、高尾山にある山荘で妻の不倫相手を猟銃で撃ち殺します。
殺害後、若林は猟銃を被害者に持たせ、外から糸を使って鍵を室内へ戻すことで、被害者が自殺したかのような密室状況を作ります。
この導入だけを見ると、雪山の山荘、銃、密室、糸のトリックという古典的な本格ミステリーの雰囲気があります。
しかし本作は、その密室殺人の解明を中心にするのではなく、犯行後に若林が巻き込まれる不運な連鎖へ焦点を移していきます。
| 場所 | 高尾山の山荘 |
|---|---|
| 凶器 | 猟銃 |
| 偽装 | 自殺に見せかける |
| 仕掛け | 糸を使って鍵を室内へ戻す |
| 物語上の役割 | 本格ミステリー風の前振り |
山荘殺人は非常に意味ありげに始まりますが、後半のなりすましコメディとの落差を作るための入口として機能している点が本作の面白さです。
鴨田巌殺害の流れ
若林は山荘から帰る途中で車のタイヤがパンクし、通りがかった鴨田巌の車に乗せてもらいます。
鴨田は非常に話好きで、若林のことを以前ホテルで見かけたと話し、妻のことまで知っている様子を見せます。
若林は自分と会ったことを誰にも言わないよう頼みますが、鴨田はその場では了承しながら、自宅の留守番電話へ若林と会ったことを吹き込んでしまいます。
これを見た若林は、自分が山荘殺人と結びつけられることを恐れ、鴨田を口封じのために殺害します。
- 若林の車がパンクする
- 鴨田が若林を車に乗せる
- 鴨田は若林を以前見たことがある
- 鴨田は留守番電話に若林のことを残す
- 若林は口封じで鴨田を殺す
鴨田は善意で若林を乗せた人物であり、その善意とおしゃべりが若林にとって最悪の偶然になるところに、本作のブラックコメディがあります。
鴨田になりすます展開
若林は鴨田を殺害した後、鴨田の自宅へ行き、留守番電話のテープを回収しようとします。
鴨田は車中で自宅の鍵のありかまで話していたため、若林はその情報を利用して部屋へ入ります。
ところが、テープを回収して帰ろうとした瞬間、鴨田を訪ねてきた古畑任三郎が玄関に現れます。
古畑は鴨田が拾った財布の件で来ており、若林はとっさに鴨田本人のふりをして古畑を部屋へ入れることになります。
| 若林の目的 | 留守番電話のテープ回収 |
|---|---|
| 侵入できた理由 | 鴨田が鍵のありかを話していた |
| 来訪者 | 古畑任三郎 |
| 古畑の目的 | 拾われた財布の件 |
| 若林の行動 | 鴨田本人になりすます |
ここから本作は、殺人事件の緊張感よりも、若林が古畑の前でどこまで鴨田を演じ切れるかという一幕劇に変わっていきます。
古畑が見抜いた点
古畑は、若林が鴨田になりすましていることを、かなり早い段階で疑っています。
きっかけは一つではなく、留守番電話に残っていた鴨田本人の声、部屋の写真に若林の姿がないこと、鴨田の生活習慣と若林の反応が合わないことなど、複数の違和感です。
さらに、時計のずれ、テレビで流れていたサザエさんの再放送、タバコの銘柄、保険証、靴の大きさ、ボウリングの話などが、若林が本物の鴨田ではないことを示す細かな手がかりになっていきます。
古畑は明確に断定する前から、若林の嘘を泳がせ、彼が苦し紛れに新しい設定を重ねていく様子を観察しています。
- 留守番電話の声と若林の声が違う
- 部屋の写真に若林の姿がない
- 鴨田の生活習慣に若林がついていけない
- 時計とテレビ番組の時間が合わない
- 靴やボウリングなど身体的な違いが出る
古畑の面白さは、単に証拠を突きつけるのではなく、若林に芝居を続けさせることで、嘘がどんどん破綻していく過程を見せるところにあります。
鍵の逆トリック
本作では、冒頭の山荘殺人で若林が糸を使って鍵を室内へ戻す密室トリックを使います。
一方で、後半の鴨田宅では、古畑が鍵を使った逆トリックのような形で若林を追い込みます。
若林は鴨田の部屋から逃げたいのに、古畑に付きまとわれ、さらにホテルやボウリング場へ連れ回されることで、どんどん鴨田らしく振る舞わなければならなくなります。
鍵は閉じ込める道具でもあり、犯人が外へ出たことを隠す道具でもありますが、本作では若林自身が自分の嘘に閉じ込められていくように見えます。
| 山荘の鍵 | 自殺に見せるための密室偽装 |
|---|---|
| 鴨田宅の鍵 | 若林が侵入するための情報 |
| 古畑の使い方 | 若林のなりすましを逆に追い詰める |
| 意味 | トリックがコメディに反転する |
冒頭の本格ミステリー的な鍵の使い方が、後半では犯人を逃がさない笑いの仕掛けへ反転するところが、本作ならではの構成です。
放送日と視聴率
「間違えられた男」の初回放送日は1996年3月6日で、第2シリーズ第9話として放送されました。
シリーズ全体では通算第22回にあたり、前話の「魔術師の選択」に続く第2シリーズ終盤のエピソードです。
視聴率は26.5%とされ、前後の高視聴率回と並んで第2シリーズの人気を支える数字を記録しています。
タイトル表記は資料によって「間違われた男」と書かれる場合もありますが、配信や検索上は「間違えられた男」として探されることが多い回です。
| シリーズ上の位置 | 第2シリーズ第9話 |
|---|---|
| 通算回 | 第22回 |
| 初回放送日 | 1996年3月6日 |
| 視聴率 | 26.5% |
| ゲスト犯人 | 風間杜夫 |
「古畑任三郎第9話」とだけ覚えると第1シリーズと混同しやすいため、「間違えられた男」は第2シリーズ第9話として整理するのが正確です。
あらすじを時系列で整理
「間違えられた男」のあらすじは、山荘での妻の不倫相手殺害、密室自殺偽装、車のパンク、鴨田との出会い、鴨田の留守番電話、鴨田殺害、鴨田宅でのテープ回収、古畑来訪、若林のなりすまし、ホテルとボウリング場での追い込み、逮捕という順番で追うと分かりやすくなります。
この回は、最初の殺人が本格ミステリー風に作られている一方で、メインの見どころは若林が鴨田に間違えられた状態を必死に保とうとするドタバタ劇です。
時系列で整理すると、若林の破滅は古畑の鋭さだけでなく、車のパンク、鴨田のおしゃべり、財布の紛失届、テレビの時間など、偶然と小さな生活の事実が積み重なって起きていることが分かります。
山荘の密室偽装
物語は、若林仁が妻の不倫相手を山荘で射殺するところから始まります。
若林は猟銃を被害者に持たせ、鍵を室内へ戻す仕掛けを作り、外部からの犯行ではなく自殺に見せようとします。
この場面は非常に本格ミステリーらしく、視聴者は古畑がどのように密室トリックを崩すのかを期待します。
しかし本作は、その期待をあえて横へずらし、犯人が計画の外で起きた不運に振り回される方向へ進みます。
| 段階 | 内容 | 意味 |
|---|---|---|
| 殺害 | 妻の不倫相手を猟銃で撃つ | 若林の計画的な犯行 |
| 偽装 | 銃を被害者に持たせる | 自殺に見せる |
| 密室 | 糸で鍵を室内へ戻す | 外部犯の可能性を消す |
| 転調 | 帰路でタイヤがパンクする | コメディ展開の始まり |
この導入の作り込みがあるからこそ、後半の古畑に振り回される若林との落差が大きくなります。
鴨田との出会い
車がパンクした若林は、通りかかった鴨田巌の車に乗せてもらいます。
鴨田は善意の人物ですが、同時に非常におしゃべりで、自分の身の回りのことも若林について知っていることも次々と話してしまいます。
若林は自分がその日そこにいたことを知られたくないため、鴨田に口止めを頼みます。
しかし鴨田は自宅の留守番電話に、若林と出会ったことをわざわざ吹き込んでしまい、若林にとって決定的な危険人物になります。
- 若林の車がパンクする
- 鴨田が若林を車に乗せる
- 鴨田は若林を知っている様子を見せる
- 若林は口止めを頼む
- 鴨田は留守番電話へ会った事実を残す
鴨田の善意と軽口は悪意ではありませんが、若林にとっては山荘殺人を暴く爆弾のように働きます。
古畑との遭遇
若林は鴨田を殺した後、鴨田宅で留守番電話のテープを回収します。
これで証拠を消せたと思ったところへ、古畑任三郎が鴨田を訪ねてきます。
古畑は鴨田が拾った財布の件で来ただけですが、若林にとっては最悪の相手です。
若林はとっさに鴨田本人のふりをし、古畑を部屋へ入れてしまったことで、嘘を重ね続けるしかなくなります。
| 若林の目的 | 留守番電話のテープを消す |
|---|---|
| 古畑の来訪理由 | 鴨田が拾った財布の件 |
| 若林の判断 | 鴨田になりすます |
| 展開の方向 | 古畑に振り回されるコメディへ進む |
ここから若林は、犯人でありながら被害者のふりをするという、古畑シリーズでもかなり珍しい立場に追い込まれます。
若林仁を考察
若林仁を考察する時は、彼を単なる不運な犯人として笑うだけではなく、計画性と場当たり的な弱さが同居した人物として見ることが大切です。
彼は最初の殺人では密室偽装を作るほど計画的ですが、鴨田と古畑に出会ってからは、目の前の危機をその場の嘘でしのぐだけの人物に変わります。
風間杜夫の舞台的な間と慌て方が、その転落を非常に面白く見せています。
雑誌編集者という設定
若林が雑誌編集者であることは、人物像を考えるうえで興味深い設定です。
編集者は文章や情報を扱い、他人の話を整理し、物事の見せ方を整える職業です。
しかし若林は、自分自身が現場で演じなければならない状況になると、情報を整理しきれず、設定の矛盾をどんどん増やしていきます。
| 職業 | 雑誌編集者 |
|---|---|
| 本来の強み | 情報や物語を整える力 |
| 事件での弱点 | 自分の嘘を管理できない |
| 面白さ | 編集する側が即興芝居で破綻する |
情報を扱う職業の若林が、鴨田という他人の人生情報を即席で演じることになり、そこから崩れていく点に本作の皮肉があります。
不運な犯人像
若林は、古畑任三郎シリーズの犯人の中でも特に不運な人物として語られやすい存在です。
車がパンクしなければ鴨田に会わず、鴨田がおしゃべりでなければ二人目の殺人も起きず、鴨田が古畑の財布を拾っていなければ古畑とも遭遇しませんでした。
ただし、この不運は彼の罪を軽くするものではありません。
若林は偶然に追い込まれたたびに、正直に戻る道ではなく、さらに殺し、さらに嘘を重ねる道を選んでいます。
- 車のパンクが最初の不運になる
- 鴨田の話好きが若林を追い込む
- 留守番電話が証拠になる
- 古畑の財布が鴨田宅へ古畑を呼ぶ
- 若林は不運のたびに悪い選択を重ねる
若林は不運だから可哀想に見えますが、最終的には自分の選択で破滅を深めた犯人でもあります。
風間杜夫の犯人像
風間杜夫が演じる若林仁は、古畑任三郎の中でも特にコメディ演技の強い犯人です。
若林は焦り、取り繕い、思いつきの嘘を重ね、ホテルマンのふりや別の人格設定まで演じることになります。
風間杜夫の表情の変化、間の取り方、追い詰められた時の言葉の詰まり方が、若林の悲喜劇を大きく支えています。
その一方で、冒頭では妻の不倫相手を殺す冷たい計画犯でもあるため、笑いながらも完全には同情できない人物として成立しています。
| 演技の印象 | 舞台的で表情豊か |
|---|---|
| 若林の特徴 | 計画犯なのに即興芝居に弱い |
| 面白さ | 嘘を重ねるほど追い込まれる |
| 怖さ | 口封じのために人を殺す冷たさもある |
風間杜夫の軽妙さがあるからこそ、本作は二人を殺した犯人の話でありながら、最後までコメディとして見られる不思議なバランスを保っています。
キャスト相関図で人物を整理
「間違えられた男」は、若林仁、鴨田巌、古畑任三郎を中心に、妻の不倫相手、今泉慎太郎、向島音吉、ホテル関係者が絡む構図です。
ただし人物関係の中心は複雑な人間ドラマではなく、若林が誰にどう見られ、誰になりすまさなければならなくなったかという立場のズレにあります。
キャスト相関図を整理すると、なぜ若林が山荘の事件より鴨田の部屋で追い込まれるのかが見えやすくなります。
主要キャスト一覧
主要キャストを一覧にすると、本作は犯人、被害者、古畑の三角関係が途中で入れ替わる構造になっています。
若林は最初の事件では犯人として逃げる側ですが、鴨田宅では鴨田になりすました人物として古畑と向き合うため、立場の芝居を何重にも重ねることになります。
| 役名 | 俳優 | 立場 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 古畑任三郎 | 田村正和 | 刑事 | 若林のなりすましを見抜く |
| 今泉慎太郎 | 西村雅彦 | 刑事 | 古畑の芝居に協力する |
| 若林仁 | 風間杜夫 | 雑誌編集者 | 妻の不倫相手と鴨田を殺す犯人 |
| 鴨田巌 | 小野武彦 | 話好きの男性 | 若林を車に乗せて殺される |
| 妻の不倫相手 | 清水昭博 | 最初の被害者 | 山荘で若林に射殺される |
| 向島音吉 | 小林隆 | 警察官 | 古畑の仕掛けに関わる |
この表で見ると、鴨田は二人目の被害者でありながら、死後も若林に演じられ続ける存在であり、物語全体を支配する人物でもあります。
若林と鴨田の関係
若林と鴨田の関係は、偶然出会っただけの一時的な関係です。
しかし鴨田は、若林を以前から知っている様子を見せ、さらに今日若林と会ったことを留守番電話に残してしまいます。
若林にとって鴨田は、善意の運転手であると同時に、自分の犯行を暴く危険な証人になります。
- 鴨田は若林を車に乗せる
- 鴨田は若林を以前見たことがある
- 鴨田は非常におしゃべりである
- 鴨田の留守番電話が証拠になる
- 若林は鴨田を殺して鴨田になりすます
若林が鴨田になりすますほど、鴨田の生活や癖が若林を縛るため、死んだ鴨田が若林を追い詰めているようにも見えます。
古畑と若林の関係
古畑と若林の関係は、刑事と犯人の対決でありながら、観客と役者のような関係にも見えます。
若林は鴨田という役を必死に演じ、古畑はその芝居を見ながら、どこで破綻するのかを楽しむように観察します。
古畑は若林の嘘をすぐに否定せず、ホテルやボウリング場へ連れ出し、若林にさらに演じさせます。
| 若林の立場 | 鴨田を演じる犯人 |
|---|---|
| 古畑の立場 | 芝居を見抜く刑事 |
| 対決の特徴 | 追及より振り回しが中心 |
| 結末の面白さ | 古畑は最初からかなり見抜いていた |
この関係があるため、本作は証拠を突きつける緊張よりも、犯人が嘘の設定を維持できなくなっていく可笑しさが前面に出ています。
感想と評価のポイント
「間違えられた男」の感想は、古畑任三郎シリーズの中でも特にコメディ色が強い回として語りやすいです。
冒頭は本格ミステリー風なのに、途中から犯人が古畑に捕まる前に古畑から逃げられないという状況喜劇へ変わります。
視聴率26.5%という数字からも、第2シリーズ終盤の高い注目度の中で放送され、今なお印象に残る異色回として評価されていることが分かります。
面白いところ
面白いところは、犯人が被害者になりすますという一発の状況が最後まで効き続ける点です。
若林は古畑に疑われないように鴨田を演じますが、鴨田の本当の生活を知らないため、質問されるたびに新しい嘘を作らなければなりません。
古畑はその嘘を一つずつ崩すというより、さらに若林を困らせる状況へ連れていきます。
- 犯人が被害者になりすます設定が強い
- 古畑が若林を泳がせる展開が面白い
- ホテルマンやボウリングの流れがコミカルである
- 風間杜夫の焦りの演技が抜群である
- 冒頭の本格風味との落差が大きい
笑いの多い回ですが、若林が二人を殺している事実は残っているため、単なるコントではなくブラックユーモアとして成立しています。
評価が分かれるところ
評価が分かれるところは、最初の山荘殺人の密室トリックが大きく扱われそうに見えて、実際にはメインの解決対象にならない点です。
本格ミステリーとしての密室解明を期待すると、後半のコメディ展開に肩透かしを感じる人もいるかもしれません。
| 高評価になりやすい点 | 好みが分かれる点 |
|---|---|
| コメディとして完成度が高い | 本格密室の解決を期待すると外される |
| 風間杜夫の芝居が楽しい | 犯人が振り回される時間が長い |
| 古畑の意地悪さが面白い | 事件の重さはやや薄まる |
| サザエさんや時計の小ネタが効く | 権利関係の話題もつきまとう |
ただし、この肩透かしこそが本作の狙いであり、密室ミステリーの入口からなりすまし喜劇へ転がる構成が最大の個性です。
見返す時の注目点
ネタバレを知った後に見返すなら、古畑がどの時点で若林の正体に気づいているのかを追うと楽しめます。
初見では若林が何とか逃げ切れるのかに目が向きますが、二度目に見ると、古畑がかなり早い段階から若林を疑い、わざと芝居を続けさせているように見えてきます。
また、時計、サザエさん、ボウリング、ホテルの制服、鴨田の声、写真、靴などの小さな手がかりが、すべて鴨田本人ではないことを示す方向へつながります。
| 注目点 | 見返す時の意味 |
|---|---|
| 留守番電話の声 | 若林が鴨田ではない最初の大きな違和感 |
| サザエさん | 時計のずれを示す時間の手がかり |
| ボウリング | 鴨田の特技を若林に演じさせる罠 |
| ホテルの制服 | 若林のなりすましをさらに追い込む |
見返すほど、古畑がただ偶然若林を困らせているのではなく、鴨田本人なら自然にできるはずの行動を次々に試していることが分かります。
考察で深まるテーマ
「間違えられた男」は、コメディ回として見られがちですが、嘘を重ねる怖さ、偶然に支配される犯罪、なりすましの限界、古畑の観察者としての残酷さを考察できる回です。
若林は最初の殺人では計画を組み立てますが、その後は偶然に追われ、嘘で自分を守ろうとするたびに別の嘘を必要とします。
この構造を意識すると、本作は笑えるだけでなく、犯罪者が自分の作った虚構に閉じ込められていく物語としても見えてきます。
嘘を重ねる怖さ
若林は、最初に鴨田のふりをした瞬間から、嘘を維持するために次の嘘を必要とします。
留守番電話の声を説明するために別の友人を作り、写真に写っていない理由を説明し、鴨田の生活に合わせて行動しようとします。
しかし、本物の鴨田の生活は若林には分からないため、嘘はどこかで必ずほころびます。
- 鴨田本人のふりをする
- 声の違いを別の嘘で説明する
- 写真の違和感を言い訳する
- ボウリングやホテルでさらに演じる
- 嘘が多くなるほど逃げ道が狭くなる
若林の悲喜劇は、嘘で危機を脱しようとする人間が、嘘そのものに追いつめられる怖さを笑いに変えたものです。
偶然と犯罪
若林の破滅には、偶然が大きく関わっています。
車のパンク、鴨田との遭遇、鴨田のおしゃべり、留守番電話、古畑の財布、すべてが若林にとって最悪の方向へ重なります。
ただし、偶然が彼を破滅させたというより、偶然が起きるたびに彼が悪い選択をしたことで破滅が決定的になったと見るべきです。
| 偶然 | 若林の選択 |
|---|---|
| 車がパンクする | 鴨田の車に乗る |
| 鴨田が話好きである | 口止めしようとする |
| 留守番電話に証拠が残る | 鴨田を殺す |
| 古畑が来る | 鴨田になりすます |
この回の不運は、単なる笑いの材料ではなく、犯罪が一度始まると偶然まで敵に回るという皮肉として働いています。
間違えられた男の意味
タイトルの「間違えられた男」は、若林が鴨田に間違えられるという意味だけではありません。
若林自身が、自分なら状況を操れると間違えており、古畑もまた若林を本当に鴨田だと思っているように見せながら、実はかなり早く見抜いています。
つまり本作では、誰が誰を間違えているのかが何重にも重なっています。
- 若林は鴨田になりすます
- 古畑は鴨田だと思っているふりをする
- 若林は古畑をだませると考える
- 若林自身が自分の力量を見誤る
- 視聴者も古畑の本心を読み違える
タイトルをこのように読むと、「間違えられた男」はなりすましの話であると同時に、犯人が自分の立場と能力を間違えた物語でもあると分かります。
ラスト後に残る見どころ
古畑任三郎第2シリーズ第9話「間違えられた男」は、1996年3月6日に放送され、視聴率26.5%を記録した、風間杜夫の犯人役が強く印象に残る異色のコメディミステリーです。
真犯人は雑誌編集者の若林仁で、彼は妻の不倫相手を山荘で射殺して自殺に見せかけた後、帰り道に出会った鴨田巌が自分との遭遇を留守番電話に残したため、口封じで鴨田も殺害します。
本作の見どころは、若林が鴨田の自宅でテープを回収している最中に古畑と遭遇し、鴨田本人になりすまして切り抜けようとするものの、留守番電話、時計、サザエさん、ボウリング、ホテルマンの制服などの手がかりで少しずつ追い込まれていく展開です。
感想としては、冒頭の本格密室風の殺人から、若林が古畑に振り回されるなりすまし喜劇へ急転する落差、風間杜夫の焦りと芝居のうまさ、田村正和の古畑がすべて分かったうえで若林を泳がせるような意地悪さが大きな魅力です。
ネタバレを知った後に見返すなら、古畑がいつ若林を偽物と見抜いたのか、若林の嘘がどの場面でほころび始めたのか、そして「間違えられた男」という題名が単なる人違いではなく、自分なら逃げ切れると信じた若林の見誤りまで含んでいることに注目すると、本作をより深く味わえます。